朝日塾個別教室

国語の勉強 3~現代文ができない理由 その3~

 今回は小説の問題ができない理由を考えてみたいと思います。
 実際のところ、小説が問題として入試に登場する頻度はさほど高くありません。実力テストや模試などでは小説が必ずといっていいほど出題されているので、「入試では小説が出題される」と思い込んでいる人が少なくないようですが、国公立の2次試験や私大の入試では小説の出題率はさほど高くありません。この傾向は、小説の問題作成が困難であることが一因であると考えられます。
 小説に対する書評は、現代では、読者によって異なるものという考え方が主流になりつつあります。たとえ著者が自身の作品に対する書評を述べたとしても、それは絶対的なものでなく、一読者の書評と同列のものであると見なされるようになっています。
 つまり、小説の解釈は読者の自由であるから、「この解釈が正しい」という考え方が存在しないのです。そのため、小説で問題を作成することは困難であり、特に記述式では問題を作成する際には、慎重に行わなければならなくなるのです。

 ところが、センター試験では小説が必ず出題されます。では、その問題はナンセンスなのかというとそうではありません。そこはよくできたもので、センター試験の国語の問題では「正しいもの」ではなく「最も適当なもの」を選ぶよう指示することによって、先に挙げたような読み手による差異が生じないようにしてあるのです。
 マーク式の問題は客観式とも呼ばれます。すなわち、選択肢がある問題では主観を交えないということです。実は、マーク式の問題、特にセンター試験においては、正解となる選択肢は文中の表現から確実に類推されるものであって、深読みや想像によって推測されるものは間違いであるという暗黙の了解があるのです。
そのため、小説の問題では、読書好きの人や感情移入をする人に、誤った選択肢を選んでしまう傾向が強く現れるのです。