なぜ文系は「化学基礎」と「生物基礎」を選んだほうが良いのか、についてですが――
まず、新課程と現行課程の「基礎」と「Ⅰ」の内容を比較すると、物理は「波動」の中から光に関するものがなくなりました。新たに追加された内容がほとんどないため、学習の負担は軽減されました。出題の傾向は、従来と変わりないと考えられます。
化学は、「無機」と「有機」がなくなり、結晶や結合に関する項目が少々増え、結果的にほぼ従来の「理論」だけになりました。そのため、暗記すべき事項が少なくなり、計算問題のウエイトが高くなるかもしれません。
生物は大きく変わりました。ATPや回路反応、あるいはDNAについてなど、生化学色が濃くなっています。その分、遺伝に関する項目が削除されました。また人体に関する項目や環境に関する項目など、時事的な内容を踏まえた項目に重点が置かれています。
生物に関しては、内容が大きく変わっているため、センター試験の出題傾向は定かでありません。ただ、従来と比べて、グラフやデータの読み取りや、計算問題が増加する可能性があります。
総じて言えば、「基礎」は従来の「Ⅰ」と比較すると、ただ記憶することより、思考することに重きを置いているといえるでしょう。結局どれを選んでも大差ないのですが――
センター試験における点数の取りやすさから言えば、物理が一番だと考えられます。ただし、物理の問題が他の科目より簡単だというわけではありません。物理という科目の性質上、分かっていればほとんど解ける問題が多いからです。
しかしながら、物理は、分からない人には、さっぱりわからない科目です。苦手な人には決してお勧めできません。
「基礎」以外に、「基礎」が付かない「化学」や「生物」を選択する方法もありますが、内容から考えて、「基礎」を2科目学習するよりも、負担が大きいと思われます。
以上のことから、文系なら、やはり「化学基礎」と「生物基礎」を選択するのが無難という結論です。